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【第2話】辞めたいけど、やっぱり無理なのかな

スッキリ物語

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激務に耐えかねて親に相談してみたが…

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『お父さん、お母さん』

『あのね、相談があるの』

 

『今の職場、きつすぎてつらい』

 

『言い訳はしたくないけど、さすがにブラックすぎると思うの』

『同期はどんどん辞めていくし』

『このままじゃ仕事ばっかりで何もできない』

『だからね、もう少し小さめの病院にいきたいの』

 

「そうか、つらかったな」
「同期はもうみんないないのか?」

 

『えっと、何人か残ってるけどけっこう辞めた』

 

「そうなんだ」
「でも、もったいないな、せっかくいい病院に就職できたのに」

 

「そうね、大変だと思うけど、辞めたらあんないいとこもう入れないかもよ」
「先輩もたくさんやめちゃったの?」

 

『うーん、結婚したりで辞めていく人もいるね』

 

「それなら、あかりも結婚までは頑張ってみたらどうだ?」

 

「そうよ、大手なんだからすぐにいい男つかまえられるって」
「もう少し慣れてくれば、きっと今より余裕でてくるんじゃない?」

 

「そうだな、今が踏ん張りどころだと思うぞ」

 

「ママも応援するから、もうちょっと頑張ってみようよ」

 

『うーん。でも・・・』

 

「な、たまには気晴らしに寿司でも食いにいくか」

「そうしましょ、大トロいっぱい食べよっ」

「えっ…まあ今日は特別だぞ」

 

そんな感じで、

意を決して両親に相談してみましたが、

うまく流されてしまいました。

 

辞めたい、辞めたいんだけど、

『ああああもう限界なのよおおおおお!!!!』

って、両親の前で泣き崩れるほどではない。

 

それに、辞めたらもったいないのは一理ある。

それはわかってる。

 

しかも、ただでさえ職場きついのに、

私がいま抜けたらすっごい迷惑かかっちゃう。

 

まわりが辞めていく中、

一緒に頑張ってきた数少ない同期や、

新人のころから可愛がってくれていた先輩に、

こんな形で迷惑はかけたくない。

 

まだ全然みんなに恩返しできてない。

 

やっぱり、辞められないよなあ。

 

ていうか、あの人もこの人も辞めたいって言ってて、

でも今すぐ抜けると回らないからって、辞める順番待ちをしてる状態。

 

そんな中で私が先に辞めるわけにもいかない。

そんなこと、できない。

 

せっかく大きい病院入ったし、

給料も安泰だし、

続けたほうがいいのはわかってる。

 

もうちょっと、頑張ってみるしかないのかな。

 

なかなか思い切った決断をすることができなくて、

 

今日もまた、

いつ終わるかわからない業務に追われ、

 

心を無にして、

遅くまで残業するのでした。

 

というか仕事が多すぎる。

まだまだ若いけど、

それでもさすがにきついくらい。

 

時間さえあれば、

もっと患者さんの話ちゃんと聞いてあげたいし、

あの患者さんの髪の毛も洗ってあげたかったなあ。

 

ほんとは患者さんの言葉を無視するようなことしたくない。

でも、いちいち付き合ってたら何時に帰れるかわからない。

 

丁寧な対応なんてまず無理。

 

夜も鳴り止まないナースコール。

不穏な患者さんの対応。

 

あー!点滴のルート抜いちゃってるー!
血だらけー!ちょっと誰かヘルプ!
だめだ向こうも忙しいみたい!
自分だけでなんとかするしかない!

 

はーい、どうしました○○さん。
え、トイレ?いやいや、何回目?
ぜったい出ないでしょ。
わかったわかった、じゃあ行こう、早く済ませてくださいね。

 

はいはい、なんでしょうか。
え?用事ないの?
あのね、用がないなら夜中に呼ばないでね。
私たちけっこう忙しいんだからさ。

 

あー、ストレスたまる。

 

ストレスたまりすぎて性格がきつくなっていくのを感じる。

この程度のことでイライラしちゃうなんて、私らしくない。

 

ほんとは優しくしたいのに。

きつい言葉なんて投げかけたくないのに。

 

そして、あるときふと気付いた。

 

あれ、私の顔、なんか怖いかも。

 

え、やだ。

いつも怒りっぱなしの、あの先輩にそっくりかも。

 

ストレスフルだと、

心が汚れてだんだん性格がきつくなる。

 

自分が自分じゃないみたい。

 

ああ。

自分が壊れていく。

いやだ、こんな自分大嫌い。

 

病院にはちらほら、

鬼が憑依したようなナースがいます。

 

言葉遣いや対応がきつくて、

見ていてほんとに不快でした。

 

怒られている患者や後輩を見ていると、

なんだか自分の心臓がギュッとなるんですよね。

 

あれは本当に嫌なものです。

 

ですが、

そんな鬼ナースに、

今度は自分がなろうとしている。

 

そんな自分がとにかく嫌でした。

 

ああいうふうにはなりたくない。

絶対に。

 

忙しすぎる

どんどんストレスがたまる。

心もも汚れて濁っていく。

 

そんなある日、

思いもよらぬ悲劇が襲いかかりました。

 

 

母が病気になりました。

 

 

肺ガンでした。

 

 

 

頭が真っ白になりました。

 

 

 

もう、無理。

 

 

ついに、

精神的にも、

肉体的にも、

限界を超えてしまいました。

 

そうして私は、

師長に退職の意志を伝える

決意をしました。

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